「ねえ、竜ちゃん」
「ん?どうした?」
図書館の中庭で部下の子供に捕まった。
両親共に図書隊の仕事についている為に、本当に小さい頃から図書館を遊び場にしていた子だ。
そして、両親に似て本好きな子に成長している。
なぜか、俺の事を『竜ちゃん』と呼ぶ
最初は辞めてくれと頼んだが『じゃあ、おじちゃんでいいの?』と可愛らしく首を傾げる姿にやられた俺はいつの間にか『竜ちゃん』と呼ばれることに慣れてしまった。
「竜ちゃんなら知っているよね」
俺の膝の上に座りながら絵本を読んでいた子供・堂上愛生(どうじょうあい)は俺を見上げながら聞いてきた。
「どうして、みんな愛生の誕生日プレゼントはお姫様グッズやクマちゃんのグッズばかりなの?」
子供の素朴な疑問に俺は苦笑する。
この子が生まれた・・・いや、母親のおなかにいた時から俺たちは生まれてくる子供へのプレゼントと称してたくさんのクマグッズを送りつけ、父親に怒鳴られ、母親からは呆れられた。
そして、生まれた子が女の子と知るとクマグッズと一緒に某テーマパークのお姫様シリーズも買い揃えたほどだ。
いまや、堂上家の一室はクマとお姫様シリーズのグッズで埋め尽くされているといっても過言ではないだろう。
柴崎の情報によると、置ききれないものは父親の実家に保管されているらしい。
それもまた一つの部屋を埋め尽くすほどだとか・・・
「愛生はクマやお姫様は嫌いか?」
「ううん。大好き」
「みんな、愛生が好きなものを知っているからクマやお姫様のおもちゃを買ってくれるんだよ」
小さな頭をなでると愛生は嬉しそうに微笑む
「うん、わかった。でもね、竜ちゃん」
「ん?」
「愛生、クマちゃんやお姫様も好きだけど、ミッ○ーもド○ルド好きなんだよ」
ポツリと呟く愛生
「そうか、愛生はミッ○ーやド○ルドも好きなのか、じゃあ、今度の誕生日に買ってやろう」
「ほんとう!?」
パッと顔を輝かせる愛生に俺は頷いて
「ただし、パパとママには内緒にするんだぞ」
「うん!竜ちゃん大好き♪」
満面の笑みを浮かべて絵本の続きを読む愛生
今は本当のことはまだ言わない。
なぜ、周りの奴等がクマやお姫様シリーズを買い与えているのかは・・・
両親の二つ名が「熊殺し」であるとか、昔母親が父親の事を「王子様」と呼んでいたからなんて今はまだいわない。
それはもう少し愛生が成長した時でもいいだろう。
それまではクマグッズやお姫様シリーズは確実に堂上家に増えていくだろうけどな・・・